「台車、持ってきて」
スーパーでこう言われたら、ほとんどの店で指しているのは平台車です。荷台が平らで、取っ手が1本付いているだけの台車。バックヤードにいちばん多く転がっていて、新人が最初に触る運搬道具でもあります。
いちばん単純な道具なので、いちばん雑に扱われます。そして事故は、だいたいその雑さから起きます。
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現場での呼び名と、カタログでの名前
同じ台車でも、店によって呼び名が変わります。「台車」「平台」「カット台」「カット台車」。どれで呼ばれても、指しているのはこの荷台が平らな台車です。
通販サイトやメーカーのカタログでは「平台車」「運搬台車」の名前で並んでいます。「カット台車」で探しても見つからないときは、「平台車」で探してください。
どこで、いつ使うか
出番がいちばん多いのは品出しです。バックヤードで段ボールを載せて売場まで運び、陳列する棚の横に止めて、そこから補充していきます。
荷受けでも使います。納品された段ボールやケース商品をまとめて載せ、保管場所や売場へ移す。飲料やお酒のケースのように重いものを運ぶのも、この台車の仕事です。
ほかの運搬備品との使い分け
平台車が向いているのは、形が四角くて、底が平らで、積み重ねても崩れないものです。それ以外は、専用の備品に任せたほうが早くて安全です。
| 運ぶもの | 向いている備品 |
|---|---|
| 段ボール・ケース商品 | 平台車・カット台車 |
| 一度に大量の商品 | カゴ車・カートラック |
| 売場の狭い通路での品出し | 六輪台車 |
| パック・トレイの商品 | 5段カート・8段カート |
| パレットに載った重量物 | ハンドリフト |
新人がやりがちな失敗
- 胸の高さより上まで積む/前が見えなくなります。売場の角で、お客様にぶつかるのはたいていこの状態です。
- 通路をふさぐ位置に止める/補充に夢中になると、台車の向こう側でお客様が通れずに待っていることに気づきません。止めるのは棚の横に寄せて、通路の幅を残す位置です。
- 使い終わっても定位置に戻さない/次に使う人が探し回り、通路に放置された台車につまずく人が出ます。
- 背の高いもの・割れるものを、立てたまま載せる/次の項目で、実際に見た例を書きます。
実際に見た失敗:一升瓶を立てたまま運んで、割った
カット台にお酒のケースを載せて運んでいた新人が、一升瓶3本をケースに入れず、そのまま縦に立てて一緒に運びました。
案の定、落ちて割れました。店内がお酒の匂いで大変なことになりました。
一升瓶は背が高く、重心が上にあります。台車は動き出すときと止まるときに、必ず揺れます。立てて置けば倒れる。理屈で考えれば分かることですが、本人には「台車に載っているから大丈夫」に見えていたはずです。
平台車の怖さはここにあります。荷台が平らなので、たいていのものは載ってしまう。載ったから、運べると思ってしまう。
「載る」と「運べる」は別の話です。瓶はケースに入れたまま運ぶ。背の高いもの、重心の高いもの、ガラスのものは、載せる前に運び方を決める。台車の上で倒れたものは、押している人の手では止められません。
選ぶときの基準
平台車はどれも同じに見えますが、使い勝手の差は次の4つで決まります。
- キャスターの動き/重いケースを載せたときに、軽く動き出すか。動きの渋い台車は、押す人が力任せになり、止まるときの揺れも大きくなります。
- 荷台の高さ/低いほど、重いケースの積み下ろしが楽になり、載せた荷物も安定します。
- 方向転換のしやすさ/売場の通路で曲がれるか。バックヤード専用なのか、売場まで入るのかで選ぶ台車は変わります。
- 走行音/営業中の売場で品出しするなら、音の静かな車輪が向いています。ガラガラと響く台車は、お客様の買い物の邪魔になります。
現場で使われている平台車の一例です。
あわせて調べたい言葉・備品
- 平台車(用語集)
- 品出し(用語集)
- 荷受け(用語集)
- カゴ車(用語集)
- 5段カートと8段カートの違い(備品の解説)
- 01 運ぶ・移動する(備品の一覧)
- カゴ車・カートラックとは(備品の解説)
- 六輪台車とは(備品の解説)
- ショッピングカートとは(備品の解説)
- ハンドリフトとは(備品の解説)
- ミニキャリアとは(備品の解説)
- 用途別専用カートとは(備品の解説)
台車に載せる前に、ひと呼吸。「これは運べる形か」を見るだけで、割れる瓶も、崩れる段ボールも減ります。
