朝のバックヤードに、トラックから降ろされたカゴ車がずらりと並ぶ。中身は段ボールでぎっしり。「これ、売場の横まで持ってきて」と言われて、新人はたいてい取っ手をつかんで前へ押し出します。
それが、カゴ車でいちばん多い間違いです。カゴ車は押しません。引きます。
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現場での呼び名と、カタログでの名前
現場では「カゴ車」「カゴ台車」。カタログや物流の世界では「ロールボックスパレット」「ロールカート」の名前で売られています。通販で探すなら、こちらの名前のほうが見つかります。
よく似た仲間がカートラックです。「ラックカート」「組み立て式カート」とも呼ばれ、運ぶカートとしても、置いておく棚としても使えます。分解と組み立てが簡単なのが特徴です。
| カゴ車 | カートラック | |
|---|---|---|
| 形 | 柵や金網で囲われた大型の台車 | カートにも棚にもなる組み立て式 |
| 主な出番 | 納品・大量の商品の移動 | 荷受けした商品の運搬と、在庫の棚 |
| 別の呼び名 | カゴ台車、ロールボックスパレット、ロールカート | ラックカート、組み立て式カート |
| 営業中の売場 | 入れない店が多い | 入れない店が多い |
どこで、いつ使うか
いちばんの出番は納品です。トラックからの納品は、カゴ車ごと届くことが少なくありません。荷受けしたらそのまま売場の横まで運び、空になったカゴ車は返却場所へ戻します。
バックヤードでは棚の代わりにもなります。在庫を入れたまま置いておき、品出しのたびにそこから取り出す。カートラックなら、在庫管理用のボードを付けて使っている店もあります。
押さずに引く。これが基本です

カゴ車もカートも、動かすときは引くのが基本です。
理由は単純で、押すと進む先が見えないからです。カゴ車は背が高く、荷物を積めば前は完全にふさがります。その状態で前へ押し出せば、カゴ車の向こうにいるお客様や、通路に置いてある商品にぶつかります。ぶつかってから、初めて気づくことになります。
引いて動かせば、自分の体が先に進みます。進む先を、自分の目で見てから動ける。引くのが基本なのは、この順番を守るためです。
荷物を積んだカゴ車は重く、一度動き出すと簡単には止まりません。傾斜や段差では、引いていても勢いがつきます。営業中は売場に入れない店が多いのも、ぶつかったときのけがが大きくなるからです。
積みすぎない。ルールには理由があります
カゴ車には、店ごとに「ここまでしか積まない」というルールがあります。高さの目安だったり、重いものは下に入れる決まりだったり。言われたことがないなら、最初の勤務で先輩に確認してください。
新人が破りやすいのは、ルールを知らないときより、急いでいるときです。
品出しの時間が迫っている。往復の回数を減らしたい。だから想定より多く積み上げて、1回で済ませようとする。
この発想は捨ててください。積みすぎたカゴ車は、上の段ボールで前も横も見えなくなり、角を曲がるときに荷崩れします。崩れた商品を拾い集め、傷んだ分を処分する時間を足せば、2往復したほうがずっと早く終わります。けが人が出れば、時間の話では済みません。
カゴ車の作業で急ぐ必要はありません。安全第一。それが結局、いちばん早く仕事を終わらせる方法です。
新人がやりがちな失敗
- 前へ押して運ぶ/カゴ車の向こうにいるお客様や商品が見えません。引いて動かします。
- 決められた高さ以上に積む/前が見えなくなり、曲がり角で荷崩れします。
- 急いで往復を減らそうとする/積みすぎの原因は、ほとんどがこれです。
- スニーカーで作業する/重いカゴ車のキャスターに足を巻き込まれます。安全靴か、つま先の固い靴で作業してください。
- 傾斜や段差で手を離す/積んだカゴ車は勝手に動き出し、止められなくなります。
選ぶときの基準
カゴ車・カートラックを買い足すときは、カタログの積載量より先に、店の中を思い浮かべてください。
- 通路幅/バックヤードの通路や、売場の横の置き場所を通れるか。幅が数センチ違うだけで、曲がれない角が出てきます。
- 扉との干渉/冷蔵庫や搬入口の扉を、積んだまま通れるか。開いた扉に当たらないか。
- 中間棚/中段に棚板を入れられるか。重いものと軽いものを分けて積めれば、下の商品がつぶれません。
- キャスターの動き/重い荷物を積んだまま、引いて向きを変えられるか。動きの渋いキャスターは、力任せの運転につながります。
現場で使われているカゴ車・カートラックの一例です。
あわせて調べたい言葉・備品
- カゴ車(用語集)
- カートラック(用語集)
- 荷受け(用語集)
- 検品(用語集)
- 平台車・カット台車とは(備品の解説)
- 5段カートと8段カートの違い(備品の解説)
- 01 運ぶ・移動する(備品の一覧)
- 六輪台車とは(備品の解説)
- ショッピングカートとは(備品の解説)
- ハンドリフトとは(備品の解説)
取っ手をつかんだら、まず自分が前に立つ。カゴ車の作業は、それだけで事故の大半を防げます。
