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つくる・加工する
調理場の機械は、動いている時間より、止めて洗っている時間のほうが事故を生みます。切れ味も、処理能力も、清掃の手順を守れる設計であって初めて意味を持ちます。
食品を切る、加工する、混ぜる、加熱するなど、商品づくりに使う器具・設備をまとめました。スーパーの調理場では、包丁やまな板のような基本的な道具から、スライサー、フライヤー、炊飯器、大型調理機器まで、作業内容によってさまざまな設備を使い分けます。
探しているのは、どんな道具ですか?
基本の切る道具
包丁
肉、魚、野菜、惣菜など、食材を切るための基本的な調理器具です。道具としては最も安価ですが、状態の良し悪しが仕上がりと安全の両方に直結します。
現場メモ|切れない包丁のほうが、はるかに危険です。力を入れて押し込むので、滑ったときの行き先が誰にも分からない。手を切るのは新人ではなく、切れない包丁を我慢して使い続けたベテランです。それと、シンクの中に包丁を沈めるのは絶対にやめさせてください。泡の下に刃があると分かっていても、洗い場に立った人間の手は必ず先に入ります。
見るポイント:刃の形、長さ、握りやすさ、研ぎやすさ、用途ごとの使い分け。
包丁を詳しく見る →切る作業の土台
まな板
食材を安全に切るための作業面です。食材や作業内容によって使い分けることも重要です。
現場メモ|まな板は削れて凹んだ時点で交換です。真ん中がへこんだ板の上では食材が安定せず、水も溜まる。傷の溝に入った汚れは、洗浄機を通しても落ちません。色分けをしている店でも、忙しい時間帯には「近いほうの板」が使われます。色を決めることより、使う場所ごとに板を置いておくほうが確実に守られます。
見るポイント:サイズ、厚み、重量、滑りにくさ、洗浄・乾燥のしやすさ。
まな板を詳しく見る →精肉加工
ミートスライサー
肉を一定の厚さに素早くスライスするための業務用機械です。精肉売場では作業効率と仕上がりを大きく左右します。
現場メモ|怪我が出るのは稼働中ではなく、洗浄中です。刃を外して拭くとき、防刃手袋が面倒でニトリル一枚のまま触る。あの刃は、触れた感覚がないまま切れます。血が出て初めて気づく。清掃手順書に「防刃手袋」と書いてあるかではなく、防刃手袋が機械のすぐ横に掛かっているかどうかが分かれ目です。取りに行く距離が長いほど、誰も取りに行きません。
見るポイント:切断厚、清掃性、安全装置、分解しやすさ、設置スペース。
ミートスライサーを詳しく見る →野菜・食材の大量加工
フードスライサー
野菜などを大量に、一定の厚さや形に加工するための機械です。処理能力の数字より、刃を替える手間と洗う手間で日々の使用頻度が決まります。
現場メモ|刃の交換に工具が要る機械は、途中で品目を変えたくなくなります。結果として「今日はこの切り方だけ」という段取りに縛られ、機械が献立を決め始める。買ってから気づく典型です。それと、分解に五分かかる機械は、忙しい日ほど分解されません。洗浄性は快適さの話ではなく、実際に洗われるかどうかの話です。
見るポイント:刃の種類、加工サイズ、処理能力、分解・洗浄のしやすさ。
フードスライサーを詳しく見る →揚げ物調理
フライヤー
コロッケ、唐揚げ、天ぷらなどを大量に調理するための加熱設備です。惣菜部門の粗利は、この設備の油の管理でかなりの部分が決まります。
現場メモ|油は「汚れたら替える」では遅く、替える日を決めるしかありません。判断を現場に委ねると、忙しい日は必ず一日延びます。そして揚げカスを取る手間を惜しむと、油の寿命が目に見えて縮む。油代は惣菜の原価に静かに効いてくる項目で、しかも売上には一切現れません。油の廃棄量を月次で見ている店は、そう多くありません。
見るポイント:油量、温度管理、加熱方式、清掃性、油交換のしやすさ。
フライヤーを詳しく見る →焼く・蒸す・加熱
スチームコンベクションオーブン
熱風と蒸気を使い、焼く、蒸す、煮る、再加熱など多くの調理を行える業務用設備です。導入額に見合うかどうかは、機能の数ではなく使われる機能の数で決まります。
現場メモ|スチコンを入れた店の多くが、結局オーブンとしてしか使っていません。使いこなせる人が一人しかおらず、その人の休みの日は誰も触らないからです。設定を三つに絞って壁に貼る。それだけで稼働率が変わります。高機能な機械ほど、教えられる人がいない時点でただの大きな箱になります。
見るポイント:容量、電源・ガス、操作性、洗浄機能、設置スペース。
スチームコンベクションオーブンを詳しく見る →大量炊飯
業務用炊飯器
弁当、寿司、丼などに使うご飯を大量に炊くための設備です。炊く能力そのものより、釜を運ぶ人の負担が現場では問題になります。
現場メモ|炊き上がった釜は、想像より重い。それを腰の高さから持ち上げて運ぶ動作が一日に何度もあり、腰を痛める人が出るのはたいていここです。炊飯器の設置高さと、釜を下ろす台の高さが揃っていない厨房は、毎日その差だけ体に負担を掛けています。時間差で炊く段取りを組めるかどうかも、機械の性能ではなく置き方の問題です。
見るポイント:炊飯量、炊き上がり時間、保温機能、釜の重さ、洗浄性。
業務用炊飯器を詳しく見る →混ぜる・こねる
ミキサー・攪拌機
食材を混ぜる、こねる、攪拌する作業を効率化するための機器です。人の腕では出せない均一さが出る一方、巻き込みの危険が最も高い機械でもあります。
現場メモ|回っている最中にヘラを差し込む。この一手間を惜しんだ瞬間が、いちばん危ない。止めて、確認して、また回す。三十秒の遅れを嫌った人が指を持っていかれます。安全カバーを外したまま使っている機械があれば、それは事故が起きるかどうかではなく、いつ起きるかの段階です。カバーが邪魔で外されているなら、機械の選定が間違っています。
見るポイント:容量、回転速度、アタッチメント、清掃性、安全装置。
ミキサー・攪拌機を詳しく見る →仕込み・盛り付け
作業台
食材の下処理、仕込み、盛り付け、包装など、多くの作業の土台になる設備です。地味ですが、一日の作業時間に最も長く関わる設備です。
現場メモ|高さが合わない作業台は、腰で調整することになります。背の高い人が一人でも常時使う台なら、そこだけ高さを変えたほうがいい。もうひとつ、壁との隙間です。数センチだけ空いた作業台の裏は、掃除できないのに汚れは落ちる。衛生検査で毎回同じ場所を指摘される店は、たいていこの隙間が原因です。壁に付けるか、手が入るだけ離すか。中途半端がいちばん悪い。
見るポイント:高さ、奥行き、作業人数、収納、清掃性、壁との隙間。
作業台を詳しく見る →細かな調理作業
調理小物
トング、ボウル、ざる、しゃもじ、レードル、計量器具など、日々の細かな調理作業に欠かせない道具です。一つひとつは安価ですが、足りない日は作業全体が止まります。
現場メモ|小物は買うより、失くさない仕組みのほうが難しい。定位置を決めていない厨房では、開店前の十分がトング探しで消えます。それとレードルは、容量を揃えていない店が多い。一杯の量が人によって違えば、盛り付け重量も原価も揃いません。目分量でやっているつもりはなくても、道具がばらばらなら結果は目分量です。
見るポイント:材質、サイズ、洗浄性、収納場所、用途ごとの使い分け。
調理小物を詳しく見る →どれを使えばいい?
調理機器は、洗える設計かどうかで決まります
処理能力や切断精度は、カタログを見れば分かります。しかし実際の現場で差が出るのは、その機械が毎日きちんと洗われるかどうかです。分解に工具が要る、部品が多い、乾かす場所がない。この三つのどれかが当てはまる機械は、忙しい日から順に手順が省略されていきます。性能で選んで、清掃で負ける。これが調理機器の失敗で最も多い形です。
もうひとつは、教えられる人がいるかどうかです。高機能な設備ほど操作を覚える負担が大きく、扱える人が一人しかいない状態になりやすい。その人が休んだ日に稼働しない機械は、投資額に見合った働きをしていません。
個別ページでは、性能や仕様だけでなく、分解・洗浄の手順、安全装置の使われ方、新人が最初につまずく点まで含めた実務上のポイントを紹介していきます。